嘘つきピエロは息をしていない


 四


「隣、来いよ」

 呼ばれて助手席に移動したのは、なにも保と親交を深めたいからじゃない。

 高嶋をあっさり倒した、あの男子生徒が何者か知りたかったからだ。

 出発前に保はポケットからタバコを取り出し、咥えると、火をつけた。

 窓をあけながら

「煙いか?」

 とたずねてくる。

「……いえ」

 普段は髪を結ってなどいないので雰囲気が随分と違う。

 ハザードランプを切ると、方向指示器を出し、アクセルを踏んだ。

 こんな色男が隣に乗せるのは、普段はとびきりいい女だろうと思う。