嘘つきピエロは息をしていない


 男に強引に降ろされ、吉川が家へと帰って行った。

「あの」
「ん?」

 バックミラー越しに、運転席の男と目が合う。

「俺もここで降ります」
「ついでだ。送るさ」
「……いえ。適当に帰るので。残業しなくていいですよ、保先生」

 どこかで見たと思えば、うちの美術教師か。

 選択授業は美術を選んでいないので話すのはこれが初めてだ。

 保はサングラスをずらすと微笑んでこう言った。

「野郎とドライブする趣味はねぇし。どうせなら助手席にナイスバディなねえちゃんでも乗せたいが。まぁいい、付き合え」