マックスと呼ばれた男が車から降りたあと、しばらく車内には沈黙が流れた。
それから数十分後。目を醒ました吉川は、おどおどとあたりを見渡すと、
「……え!?」
運転席の男を見て声をあげた。
「ああ、俺か? 俺はほら。お前らの保護者的なアレだ。気にするな」
「なんで」
「理由なんて別にいいだろ?」
「でも……」
どうやら二人は知り合いらしい。
「いつの間に寝ちゃってたんだろう……? たしか放課後、西条くんの……あ、西条くん!!」
後部座席にいる俺に気づき、安堵の表情を浮かべる。
君は、俺にどんな目に合わされそうになったかわかんないからそんな顔ができるんだ。
「ほれ。ついたぞ」
車が停車したのは、庭付きの一戸建て住宅前だった。
表札には吉川と書いてあるから、ここが吉川の家らしい。
きっと君はこの家で、のびのびと育ったんだろうね。
優しい両親に、あたたかく包まれて。
だからそんな風になんでも簡単に信じる。
疑うことを知らない。
人に、優しくなれる。
「でも……先生。なにがなんだか」
――先生?
「それはまた今度、西条から聞け。これ以上俺に時間外労働させる気か?」
「えっ……いえ! そんなつもりは!」
「だったら降りろ。このあと西条も送らにゃならん」
「ハイ! 西条くん、バイバイ!」
「うん。……またね」


