あの子を汚すくらいなら、堕ちるところまで堕ちてもかまわないと、思った。
「俺が傷つけていいような子じゃなかったんだ」
バカみたいな話だけど、俺のくだらない人生すべてをかけて守ってやろうと思った。
そのために榊のこと殺してもかまわないとさえ考えた。
「イカれてんな。あの榊ってやつも……お前も」
「否定はしないよ」
「まぁまた変なことに巻き込まれんなよ。未来のスター」
未来のスター、か。
「もう俺はこの世界にはいられないかも」
「逃げんなよ。今お前が夢諦めたら悲しむやついるだろう?」
たしかに俺のファンが悲しむかもしれないが。
そんなの一時的なもので、あっという間に時間が解決してしまうだろう。
「俺の代わりなんていくらでもいる」
「知るか。お前のこともファンのこともどうでもいい。吉川が悲しむことすんなって言ってんだ」
「……は?」
この男はなにを言っている?
「吉川はお前のこと応援してる」
「なんで君がそんなことわかる?」
だいたい君は誰だ?
吉川きりの、なに?
「すげぇ単純なヤツだからな。おおかたお前の方から演劇部に協力するとか言って連れ出したんだろ」
「どうしてそれを……」
「悪いな。吉川は、イケメンにたいして興味ねぇんだ。だけど芝居のためなら、なんだってやりかねない。西条にのこのこついていくなんてなぁ。演劇部関連のことに決まってる」
吉川きりのことをそんなに理解している君は一体――
「おっと。ここで停めてくれ」


