嘘つきピエロは息をしていない


 向かった先は、高層階の眺めのいい場所に位置するゲストルーム。

 先輩たちは、このマンションに住んではいない。

 遊ぶときだけ金を払い泊まる。

「へえ。きりちゃんっていうんだ?」
「あの……」
「その制服、西条と同じ高校?」
「はい」

 なにが起きているか把握できない吉川は当然戸惑っているものの、危機感を抱いているようには見えない。

 近くに俺がいるからだろう。

 先輩に吉川を渡して帰る予定だった。

 だけど部屋に呼ばれ一緒に来ることになった。

 というよりは――置いて帰ることができなかった。

「きりちゃん、そこ座りなよ。なにか飲む?」

 吉川がソファにかける。

「あ……いえ、大丈夫です」
「そんなこと言わずに。ほら」

 先輩が吉川に渡したグラスに注がれているのは、おそらく、普通の飲み物じゃない。

「美味しい?」
「あ……えっと。ミルクティーですか」
「そうだよ」

 俺の予想は、正しかったらしい。

 五分とたたないうちに吉川は眠りについてしまった。

 一服盛られていたのだろう。

「どういうつもりだ? 西条」