『アンタのせいで嫌われた』
それが、あの女が男にフラれたときの定番のイイワケだった。
日に日に別れた男に似てくる俺に腹が立つと言われた。
『……もう帰って来たの?』
学校が終わってすぐに帰ると邪魔がられた。
思い返せば一緒に暮らしたおよそ十三年間、
【産まなきゃ良かった】
ずっと遠回しにそう言われていたのだと思う。
俺のことが嫌いな母親とその恋人の顔色を伺いながら肩身の狭い思いをして生きるのがとんでもなく苦痛だった。
どうして俺は生まれてきた?
作ったのはアンタだ。
産むと決めたのも。
小学三年生くらいの頃には、はやくこんな家出たいと願った。
毎日、願った。
七夕の短冊にも、流れ星にも、信じてもいない神様にも願うのは同じこと。
【はやく大人になりたいです】
周りは子供らしいことに夢中になっていたのに、そんなことを心の底からから考えていた俺は、誰が見てもマセガキだったし今も根本的には変わっていない。
死にたくならなかったと言えば嘘になるが。
それより俺は、俺のために生きていくことを選んだ。


