二
男ナシでは生きられない女の元で育った。
育児より家事より、男を優先するような女だった。
物心ついた頃から、母親は男を家に連れ込んでいた。
その相手はいつも同じとは限らなかった。
母親が知らない男と唇を重ねている光景は幼心に異様だと感じた。
自分は抱きしめられたこともないのに。
平気で俺のいる空間でやってのけるあの女が、汚れたものにみえた。
酒癖の悪い男にあたったときは、理不尽に殴られた。
普段温厚に見えたその男から突如向けられた暴力は得体の知れないもので、ただ終わるのを待つことしかできなかった。
そんなとき母親は守ってはくれず、怯えているだけか、男の味方にすらなっていた。


