「えぇ! そんなのいっぱいあるよ!?」
「ほんと?」
「うん。うまく、言えないけど……」
言葉を切る吉川を見て、やっぱり確証なんてものはなく、適当なこと言ってるだけだと落胆してしまう。
最初から期待なんて抱かなければこんな気持ちになることもなかった。
ほんと君、ムカつくなあ――
「たとえば! 学校での西条くん!」
「……学校での、俺?」
吉川の言葉で。
こんな女の言葉で俺がどうこうなるなんてありえないのに、耳を傾けずにはいられない。
「仕事場じゃないのにきちんと身なり整えてきて。ファンの子にも、初めて会った私にさえも、サービス精神旺盛で。いつも気を抜かずに自分を魅せてるところプロだなぁって思う!」
「……普通じゃない?」
「えぇ、そんなことないよ! 普段からイメージ崩さないようにつとめるのって誰にでもできることじゃないもん」
――当たり前だと思われてきた
写真撮るのも。
サイン書くのも、笑ってみせるのも。
周りの期待に応え続けることが仕事のひとつだと考えてきた。
だからこなした。
……やりたくないことも。


