一 ――俺のいる世界は汚れている。 演劇部に入るなんてのは、まるっきり嘘だ。 そんな気さらさらない。 吉川を誘い出す口実にすぎない。 これから向かうのは俺の家じゃない。 「見せたいものって撮影関係のモノ?」 「まあ、そんなところかな」 「わくわくする……!」 隣にいる吉川は、俺のことをすっかり仲間だと思い込んでいる。 騙されているとも知らないで。