耳に入ってきた言葉が、瞬時に理解できない。
だってそれは考えられないものだったから。
疑問が次々と浮かんで頭の中をぐるぐるとまわっている。
「演劇部、に?」
「うん。出席率悪いかもしれないけど」
「それは……全然かまわないよ!」
西条くんが忙しい人だなんてことは百も承知で。
できる範囲で活動してもらえたらいいな、と考えた上で勧誘しようとしていたわけだから。
だけど、どうして急に入部を希望してくれるの?
「一人でも欠ければ来年は活動できない、廃部の危機だとか」
「そうなんだよね」
「俺が入れば今年中に部員を増やせる見込みが大きくありそうじゃない?」
それはもう。
願ったり叶ったりな話だけれど。
「協力するよ」
やっぱり西条くんがそんな嬉しいことを言ってくれる理由が全然わからないよ。
「なんで」
「勉強かな。将来的に役立つと思うんだ」
「もしかして俳優目指してるの?」
「そういう仕事もやりたいと思ってる。オファーは来てるんだ、出てみないかって」
モデルのお仕事以外にも活動の幅を広げる気なんだ。
凄い……!
「でも俺はまだ実力もなにもない素人だから、断ってる」
「そっか」
「そこでなんだけど。演劇部に入れば色々学べそうだなと思ったんだ。協力なんて差し出がましい言い方しちゃったけどさ。結局自分のスキルアップがしたくて。気分悪くさせちゃったなら謝るね」
「そんなことない……!」
そんな風に考えてくれていたなんて思いもしなかったから、嬉しい。


