嘘つきピエロは息をしていない

「本人がそう言ったのか?」

 部長の問いかけに、頭を横に振る。

「そう感じたんです。バリアはられてるというか」
「限界まで剥がしてやればいいと思うよ」
「えっ……そんなこと、していいんですか?」
「さぁな。だけどよく言うじゃないか。行動をした後悔より、行動をしなかった後悔の方が大きいと。吉川は、アイツにもっと曝け出して欲しいんだろう?」

 それをナイキくんは望んでいないのかもしれない。

 曝け出さいほうが楽でいられるのかもしれない。

「内藤と一緒に芝居するの諦める?」
「…………」
「できることはやり尽くした?」

 やり尽くすどころか。

 なにができるかもわからない。

「実は、保に協力を要請していてな」
「先生に!?」
「入部届を預けておいたんだ」
「あの、SOSを出しても一番応えてくれなさそうな大人に、頼るんですか?」
「はは。保はなぁ。普段はどうしようもなくだらしない。昨日なんてシャツのボタンが取れていたので繕ってやった」

 できた嫁感がハンパないです部長。

「それでも、いざというときは心強い味方だ」
「先生が?」
「そうさ。だてに演劇部の顧問だけある」

 まさかあのひとを頼りにするなんて。

 部長が先生に期待する理由が、私にはさっぱりわからなかった。