振り返った部長は、優しく微笑んでいた。
「まさか部長。本気で命令したわけじゃなかったんですか!?」
「はは」
「そんなぁ……私、昨日からずっとソワソワして。イメージトレーニングして。髪型も変えてみたりしたんですよ?」
「まるで恋する乙女だな」
――へ?
「そこまで気合い入れる必要なかったろうに」
「いいえ、やると決めたからには、気合い入れなきゃと思いまして!」
「へえ。それで、褒めてくれた?」
「……七五三だそうです」
「あはは。そう言った内藤の顔が思い浮かぶよ」
「イジワルですよね!」
「しかし、なにを抱えているんだろうなぁ。聞いてみたらどうだ」
「それができたら苦労しません」
「聞けないのか?」
私の話は聞いてくれるのに、ナイキくんの話になったら話題をそらされちゃうというか。
壁を作られているというか。
ナイキくんのこと、なんにもわからない。
近づけたようでまだまだ遠い。
「これ以上触れたら、ダメなんです」


