こんな話、保にする必要ねぇのに。
言っても何も変わりやしないのに。
話しちまってるあたり俺は演劇部に未練たらたらなんだ。
気持ちならとっくに傾いている。
俺は吉川に誘われるたびにずっと揺れていて、それを頑なに隠している。
『入部したい』
けっしてそれを口にはできない。
一度吐けば取り返しがつかないくらい気持ちも加速するだろう。
吉川に無駄な期待をさせ続けてしまう。
そしたら俺は声に出したことを後悔するだけだ。
だから、言えない。
「俺がお前のかあちゃん説得してやろうか」
「はぁ?」
「マダムと話すのは得意中の得意でな」
「絶対やめろ」
「どうしようもなくなったときは。大人に頼ってみるのもありなんじゃねーの? まだまだガキなんだから」
「黙ってろ」
散々俺のこと縛ってきたあの女が。
邪魔をしてくることはあっても応援するようなことはない。
教師の説得に素直に応じるとも考えにくい。
「高ぇところ目指せるんだけどなぁ。お前と吉川いたら」
「そんなに吉川に期待してんの?」
「お前は吉川がどんなヤツだと思う?」
「は?……そりゃあ……」
どんくさくて。
暑苦しくて。
だけどまっすぐで、一生懸命で。
マジでめんどくせぇのにそれが俺にいい具合にフィットして一度ハマると抜け出せないヤツ――なんてこと言えるかよ。
「とてもじゃねぇが、いい芝居するとは思えない演劇部一年」
「お前今言いにくいこと全部省略したろ」
「っ、はぁ!?」
「さーすが、デレオ」


