そんな簡単に言うなよ。
なにも知らねぇクセに。
「目立つことしたくないんだよ」
「だから眼鏡で顔隠してんだねぇ?」
「ああ」
どこまで踏み込んできやがる気だよ。
俺が拒絶反応示してるの気づいてるクセに近づいてくる。
「勿体無いねぇ。“そんな顔”して」
「アンタこそ。そのだらしない無精髭剃ってきたら好感度上がるんじゃねーの」
「こんな俺もモテるからねぇ。それに俺、これ以上好感度上げたら大変なことになるよ?」
「…………」
「入れよ。名簿には“内藤@神出鬼没の幽霊部員”って載せててやるから。クラスは伏せて」
「どんな名簿だよ。無理があるだろ。それに――」
入部届に目を落とす。
「親が。なんていうか」
入部届には保護者の承諾――つまり俺の場合、母さんの署名が必要になる。
たとえごまかして提出したところで俺が部活動を始めたことがバレるまで時間の問題だ。
「なんだ? お前のうち厳しいのか」
「まぁな」


