「吉川のやつさぁ。そんな親心ならぬ顧問心に気づかねぇで、いつも俺が女と遊んでばかりいると本気で信じちまってるんだよなぁ」
「それは事実なんじゃねぇの」
「ははは。まさか。今の俺の生活なんて、寂しいもんだよ?」
見た目は二十半ばそこそこに見えるが一体いくつなんだろう。
「そのうち弱音を吐いて俺に甘えてくるかと思ったら上手いことやってやがる。部員が増えたらしい」
「なんで最初から助けてやらねぇんだよ」
「んー? なんでも大人が解決しちまったら育つものも育たないだろ?」
「……とか言って。面倒がって他人任せに怠けてたんじゃねーの」
「手厳しいねぇ。幽霊部員の内藤くんは」
「俺は入部はしない。ピンチヒッターだと言ってあるし相川だって納得――」
「相川から伝言がある。『幽霊部員とは。在籍してるにも関わらず活動をしていない者だ。それになることを承諾したならまずは在籍したまえ』だってさ」
やられた。
あの女、えらく物分かりいいと思ったらハメやがったな。
「なぁに。他の部みたいに毎日顔出せってわけでもねぇし。休みの日に出てこいとも言わねぇ。当分はな」
「…………」
「内申書だって、帰宅部よりは演劇部で青春してましたって方が幾分か印象もいいだろう? さっさと提出しちまえよ」


