嘘つきピエロは息をしていない


 さぁて、教室向かうか。

「なぁ、マックス」

 そんなマジな顔してマックス呼びすんな噴きそうになったわ。

「……っはは。ふはは。マックスいいな、マックス」

 自分で言って自分でウケんな!!

「アンタほんとに教師なのかよそんなんで」

 少し話しただけなのにどっと疲れる。

「免許状見せようか」
「イラネ」
「俺に渡し忘れてるもんあるだろ」
「はぁ?」
「いや。待てよ。俺がお前に渡し忘れてたわ」

 そう言って、ポケットから小さな紙を取り出し渡してくる。

「……スナックみゆき」
「あ、そっちじゃなかったわ」

 俺から飲み屋の名刺を取り上げると代わりにひと回り大きな四つ折りの紙を渡してきた。

「いやぁ。昨夜は新しいボトル入れさせられておかげでまだ頭痛いのなんの」
「知るかよ……ったく。なンだよ。この紙」

 ゆっくりと開いてそれがなにか確認した俺に、一つの考えが浮かぶ。

「まさかお前。演劇部の」
「ああ。顧問だ」

 ポケットから取り出した新しいタバコを咥え、ライターで火をつけた保。

 どうやらヘビースモーカーらしい。

 なあ、保。

 いや演劇部の顧問。

なんで俺に入部届(こんなもん)渡してくる?