嘘つきピエロは息をしていない

「明日世界が滅びるならさ。俺は吉川とこうやって最期までバカやっててぇな」
「……すごい設定だね、それ」
「ドキドキしすぎ」
「な、ナイキくんだって」
「俺がこんなことくらいでドキドキするかよ」
「してるよ! きこえるもん!」

 ほんとにな。

 なんで俺、この程度のことで――

「ったく。どんくせぇな」
「元はと言えばナイキくんが髪を引っ張ってくるからバランス崩れたんでしょっ……!」

 もう少しだけ。

「まぁ吉川は。何もないところでもつまずきそーだけどな?」
「そんなこと……! ある、けど!」
「あるのかよ」

 もう少しだけ、お前とこうしてちゃダメかな。

 そしたら、もう二度とお前のこと抱きしめようなんて思わないから――。

「よう、おふたりさん」

 声のする方向に視線を移すと、一人の男が突っ立っていた。

 スラリと背の高い、不健康そうな男が。 

「いやぁ。青春だねぇ?」