嘘つきピエロは息をしていない



 バランスを崩し俺にのしかかってきた吉川は、驚くくらい、軽かった。

「ごめ……ん、」
「……おう」

 女って。こんなだった?

「ナイキくん。痛くない?」
「……吉川」
「っ、ちょっと」

 吉川を受け止めた腕を背中までまわし、抱きしめ、初めて思い知る。

 吉川がこんなに小せぇってことを。

「痩せすぎ」
「えぇ?」

 漂ってくるのは、自然な優しい香りだった。

 きっとそれは吉川の使ってるシャンプーの香料だろう。

 化粧品でも香水でもない。

 鼻につくどころか心地良い。

 小さく細い身体から、力強い鼓動と、ほのかに温もりが伝わってきて――ああ、俺たちは生きてるんだよな――なんて当たり前のことを実感させられる。

「折れちまいそうなカラダ。小枝みてぇ」
「折っちゃイヤだよ!?」

 当たり前だ。

 例えだよ。