嘘つきピエロは息をしていない

 でも、その髪型は、いつもの三倍増しで目を奪われるわ。

「めかし込みやがって」
「めかし……? ああ。これはね」

 ドヤ顔で三つ編みを指差す吉川。

「大人っぽいかなと思って。かわいくない?」

 クッソ可愛くて腹立つわ。

「……七歳児?」
「あー!! さっき千歳飴舐めとけって言ったの、それ!?」
「でけぇ声だすな。うるせぇ」

 吉川に向かって手を伸ばすと、反射的に、吉川が目を閉じた。

 ギュッと瞑ってるあたり、俺からデコピンでもくらわされるとでも思ったか?

「目ぇ閉じんなよ」

 一色の前でもこんな隙だらけなんだろうな。

「っ、ちょっと……」

 吉川の髪をクイッと引っ張ると、つられて吉川が身を起こし、俺に寄ってくる。

「やめてー! 崩れちゃう!」
「そのときはまた直せ」
「すごく時間かけたのに」
「こんなとこに横になるお前が悪い」
「あー、もう! せっかくナイキくんのために――」

 ――は?

「……なんつった?」
「なんでもない」

 吉川の頬が、みるみる赤く染まっていく。

「いや、なんでもなくねぇだろ。今のは」

 俺のためとか言わなかったか?

「ほ、ほんとになんでもないの!」
「そうかよ」

 いやいや。

 なんでお前が俺のために髪型変える?

「離し――、わっ」
「オイ」