嘘つきピエロは息をしていない



「……想えば」

 想えばいい。

 幸せになれ。

「とはいっても。恋は、一人じゃできないよ」
「そうだな。相手がいないことにはな。でもそんな風に感じるのが恋愛の第一歩なのかもよ」
「なるほど……!」

 小学一年生の女児と話してる気分になってきた。

「吉川の場合さ。理想の彼氏像みたいな完璧人間が近くにいすぎて感覚にぶってんじゃね?」
「いっちゃんのこと?」
「ああ。モテるだろ、一色って」

 少し考え、思いついたように吉川が口を開く。

「うん!」
「吉川は、世の女子が憧れるシチュエーションは大概一色とクリアしてきてたりしてな」
「……それって。浴衣着て夏祭りとか? 部屋で一緒に勉強したりとか?」
「それだ。まさにそれだ。次はそこでキスの一つでもサービスしてやれば、あとは自動的に進展するだろ」

 はぁ。

 なんで好きな女と他の男をくっつけようとしてンだろう俺。

 でも俺にできるのってこういうことだろ。

 俺が一色なら吉川とキスでもできた日にゃ、やっとここまで来たか……! ってガッツポーズするわ。

「そういうんじゃないよ、いっちゃんは」