嘘つきピエロは息をしていない


「もしかして放課後、その子と会ってて忙しいの?」
「さあな」
「あ! 怪しいー!」
「勝手に妄想してろ」
「誰に似てる?」
「……イリオモテヤマネコ」
「へぇー! 猫っぽいのかぁ」

 もしやお前イリオモテヤマネコ知らねぇな?

 特別天然記念物だぞ。

 絶滅危惧種。

 人生で一度出会えるかどうかわかんねえ吉川にピッタリだろ。

「付き合ったりしないの?」
「するかよ」
「好きなんでしょ?」
「そうだな」
「キスしたいとか考える?」
「はぁ!?」

 思わず吉川の唇に視線が向いてしまい、ゴクリと唾を呑み込む。

「そりゃあ……。したいに、決まってるだろうが」
「ナイキくんもそんなこと考えたりするんだ……!」

 男の妄想力舐めんなよ。

「その子のこと、なんて呼んでるの?」
「いい加減にしろ。どうして俺が吉川に赤裸々に恋バナなんてしなきゃならないんだよ」
「リアルな恋をしてるナイキくんから、恋とはなにかを学ぼうと思って」
「勘弁してくれ」
「好きな子のこと考えて照れるナイキくん……かわいい。ちょっと顔赤くない?」
「っ、黙れ」
「いいなぁ」
「なにが」
「話聞いてたら、なんか、私もそんな風に誰かを想ってみたくなってきた」