雲の動きが目でハッキリと確認できてしまうくらいに、はやい。
こんなにゆっくりと空を眺めたのはいつぶりだっけ、なんて考えながらそっと瞼を閉じた。
微かに覚えている昔の記憶を引き出しからとりだし、ゆっくりと広げる。
「小さい頃、いっちゃんと学校の図書室で待ち合わせしたり、街の図書館に連れて行ってもらったとき、きまっていっちゃんはオススメの本を教えてくれた。私が、私もなにか読みたいって頼んだから」
返事はないけれどナイキくんが聞いてくれているような気がして、続けた。
「いっちゃんが手に取るような難しい本が読めなかった私に『これならきりも楽しめると思うな』って、選んで持ってきてくれた。あっ、紙芝居や絵本の読み聞かせ会にも、付き添ってくれたりも!」
「兄ちゃん通り越して過保護なパパだな」
一つ学年が違うだけなのにパパはナイでしょ、と思いつつもナイキくんらしいツッコミが入って嬉しくなる。


