「……好きだなぁ」
「は?」
「ナイキくんの笑顔」
単純な言葉しか見つからなくて、困る。
もっと色んな表現ができたら、うまくこの気持ちをナイキくんに伝えられるだろうか。
素敵に笑う人ならいっぱいいる。
部長も、いっちゃんも、他の部員のみんなだって、それぞれにキラキラした笑顔をみせてくれる。だけど――
「ナイキくんの笑顔は特別っていうか」
「…………」
「ナイキくんをここで発見できてよかった!」
「俺は新種のポケモンか?」
ナイキくんの美しい顔が、歪んだ。
「あ、そういう顔も!」
「見んな」
眉をひそめ寝返りをすると背中を向けてしまった。
「なんでそっち向くの!」
「アホ面見たくねぇから」
「えぇっ……私はナイキくんの顔もっと見たいのに!」
困ったようで嬉しそうな顔だって、たまらなく好きなんだけどなぁ。
「見世物じゃねぇ」
「でも国宝級に綺麗だよね」
「いつから俺は文化財になった」
「……ねぇ、ナイキくん」
「あ?」
「いっちゃんにも、怒ってない?」
少し待ってみたけどナイキくんから返事はなく、私には怒ってないって言ってきれたけど、もしかしていっちゃんには怒ってるのかなと思えてきた。
「いっちゃんね、今、脚本書くのにすごく苦労してるのかもしれない」
「へぇ。あの男、脚本くのか」
「そうなの。いっちゃんは昔から本が好きでね。読むだけじゃなくて書いたりしてるんだよ」


