嘘つきピエロは息をしていない

「違う……! 私、ナイキくんを傷つける気なかった!」

 やっと出てきた言葉はただの言い訳みたいなもので。

 そんなことしか言えない自分が嫌いになりそう。

 それでも、これが、紛れもない私の本音であることに違いはない。

 ナイキくんを嫌な気持ちにさせたくなかったって。

 それだけはわかって欲しい――

「はは。そりゃそうだろ」

 すごく冷たいと感じていた視線が、

「なんか事情あったんだろ。吉川のことだから、どうせ、芝居がらみの」

 途端にあたたかいものに変わる。

「……新しい発見が。できるかな、って。芝居をすることで知らなかったもの、見えるかと思った。いっちゃんのためにも、自分のためにもなると思った」
「そんなことだろうと思ったよ」
「ナイキくん……」
「それが正解だと思って選んだんだろ?」

 ――選んだ……?

「だったら謝るな。謝らなくていい」
「いや……だ」
「どうして」
「後悔してるから」
「後悔?」
「ごめんね。怒らせて。嫌な気持ちにさせて、ごめんね」