嘘つきピエロは息をしていない

「やること? なにを?」
「俺に言わせんなアホ」
「意味わかんないよ」
「二人きりになったらいちゃついてんだろってこと」
「あぁああ!?」
「……ンだよ。でけぇ声だして」

 よく考えたら、いっちゃんとは恋人じゃないってネタバラシをナイキくんにまだしてない。

 今ナイキくんは私のこといっちゃんの彼女って思ってる。

 まずはその誤解を解かなきゃ。

 ナイキくんに嘘をついてしまったこと。きちんと謝らなきゃ。

「ナイキくん!」

 返事はない。まさかこんな短時間で眠ったの?

「……寝た?」

 やっぱり返事はない。

 ナイキくんの近くに腰を下ろし、あのときのことを思い出す。

 ここで眠るA組の名前も知らない男子に恐る恐る近づいて、顔を覗き込んだ。

 そして眼鏡を外し、こう思った。

 “見つけた”――と。

 きっと私はナイキくんとここで出逢う運命だったんじゃかいかな。

 そう思えてならないの、私だけかな。

「私……あの……。ナイキくんを騙すようなことして、ごめんなさい」