なあ、吉川。

 俺は顔はいいけどさ。

 連絡先だって交換できなければデートもしてやれねぇし。

 プレゼントだって買ってやれねぇんだ。

 好きな子に、気持ちを伝えることもできなくて。

 口を開けばイジワルなことばっか言ってさ。

 ……すげぇかっこ悪いだろう?

「さっきの話の続き――」
「時間切れだ」

 続きなんてない。

 あっても話さない、永久に。

 吉川は、俺をそんな目で見ていない。

 男として意識していない。

 一人の人間として、接してきた。

 それが心地よかったはずなのに。

 そんな関係でいいはずだったのに。

 ……今は俺を見て欲しくてたまらなくなっている。

「まぁテスト明けたらまた考えてやるよ、演劇部のこと」