演劇部を思って協力したと――そんな優しい人間なんだって勘違いされると後ろめたさしかねぇし。
悩みがあるなら部長に相談しろなんて言われるのはクソほどに腹が立つ。
相談して解決するならとっくにしてる。
だけど話してもどうにもならねぇことってあってさ。
また明日、今日と同じことを繰り返すのかって考えただけで死にたくなるヤツだっているんだ。
抜け出したくても抜け出せない。
抜け出そうと腹もくくれねぇ。
あの女を殺して俺も死んでやろうかって考えたことさえあるが今もピンピンしてやがるのが答えだ。
一度だけ。
一度だけ歯向かった。
結果、俺に強くあたられたあの女は余計俺を縛るようになった。
薬なしでは生きられない身体になった。
俺はもうなにも変えようともしていない。
余計刺激してあの家に今以上の絶望を生みたくない。
希望も生まれなくていい。
期待していない。
それが俺の逃れられない運命だって、あの女から産まれた時点で決まっていたんだ。
大人になるまで。
……大人になっても。
俺はこの呪縛からは逃げ切れはしないんだ。
それでも。
お前といるときだけは、俺は、苦しくない。
――息が、できる。
「きり」
「……え?」
初めて吉川を名前で呼んだ。
「俺は……、お前が――」
「きり」
――今いちばんきりに会わせたくないヤツの声が聞こえた。
爆発寸前の時限爆弾は、残り一秒をきったところで、制御された。


