信じて、それで何になる?
俺には、未来なんかないだよ……。
「……俊平」
白猫に呼ばれ、ビクって体が無駄に反応して、大量の冷や汗が流れた。
頭に浮かぶのは、ワイン瓶で俺の身体を傷つけ、悪魔のように微笑んだ父親の顔……。
“お前は商品だ”
次に頭に浮かんだのは、毎日言われた言葉の数々。
“逆らおうとするな。言う通りにしろ。でないと罰を与えるぞ”
うるさい、黙れ。
“この不良品”
消えろ。
“お前は息子じゃない。商品なんだよ”
黙れーっ!!!
「はぁっ、はぁっ………」
呼吸が乱れ、精神がおかしくなっていく。
「……俊平、本音を言えよ」
白猫が俺の両肩に手を当て、俺の目を見据えて言う。
その白猫の声が、父親の声のような低い声に聞こえた。
「楓を返せクソ野郎!!
岳斗もだ!
あんたが全部とったんだこの人殺し!!
俺だって友達くらい欲しいんだよ!!
何年我慢させるんだ!!
一度も作れてねぇよ!!
やっと手に入ったと思ったら奪いやがって、
少しくらい……夢見るのくらい許せよっ!!!」
俺は涙を流しながらカウンターの机に顔を突っ伏した。