パリーンっと、
窓ガラスが割れたような音が響いた。
「ミカ!! おいミカっ!!!しっかりしろ!死ぬな!!」
誰かの声を聞いて、俺は無理矢理意識を引き戻された。
「……がっ……くと……っ。ゴホッ!」
目の前に、茶色い髪を生やす親友の姿が見えた。……岳斗?
岳斗は、腕から血を流していた。
窓割って助けに来たのかよ……。何で。
ここ、1階だからまだしも2階だったらどうする気だったんだよ………。
「……もういい、喋るな。病院行くぞ」
血を吐いた俺を見て泣きそうな顔をしてから、岳斗は俺をゆっくりとかつぎあげる。
車に運ばれ、俺は岳斗の手によって後部座席に寝かされた。その車を運転していたのは、なんと母さんだった。
私服を着た母さんを、俺は十年振りに見た。
「……助けるのが遅くてごめんなさい、俊平。もうあの人には私もついていけない。お金なんてないから今の何倍も貧乏な生活になってしまうかもしれないけれど、2人で暮らしましょう」
徐々に意識が飛んでいく中で俺は病院へ運ばれ、治療を施された。



