「どうだ?痛いか?少しは反省したか?
この不良品」
バキっと、また足の骨が折れる音が響いた。
「うっ!!!」
痛いなんてありふれた言葉では表せなかった。
耐え難い衝撃にのたうち回る俺を、父さんはつまらなそうに見つめていた。
俺がどんなに叫んで痛みを訴えても父さんは気にもとめず、俺の足を瓶の底で何十回も叩いた。
いや、瓶のそこで足を粉々に潰した。
「……なぁ俊平、不良品って英語でなんていうか知ってるか?
ジャンクだよジャンク。ガラクタって意味があるそうだぞ?」
やっと叩くのをやめたと思ったら、父さんはワインをかけられて赤く染まった俺の髪を、思いっきり引っ張りあげた。
「……と、父さん………いたっ!!!」
瓶の蓋の金属のところを俺の頭部にグリグリと押し当てて、父さんは楽しそうに、いっそう顔を歪ませて笑う。
「……ガラクタに、父さんなんて呼ばれる筋合いはない」
「いっ!!」
俺の頭から手を離すと、父さんは床に散らばっているワイン瓶の破片を拾い上げ、先が尖っているそれを俺の両手の平に刺した。
手の皮膚が裂けて、血が流れた。
「……次は左足だ」
そう言って、父さんは手に持っていたプラスチック製のワイン瓶で、俺の左足を何度も殴った。
ボキボキ、グキグキっと骨の砕ける音がする。
「……ツッ!!! ……あっ、あぁ……」
限界が近いのか、徐々に悲鳴すらもろくに発せられなくなっていく。
痛……っ、痛ぇよ。



