「俊平」 買い物の途中、俺は後ろから声をかけられた。 低い聞き覚えのある声だった。 俺は楓と握っていた手を離し、振り向いた。 「……父さん」 「俊平、たかが商品のお前が休日だからって家を無理矢理逃げ出して何をするかと思えば、デートか?随分舐めてるな」 ……つけてきてたのか。 顔を怒りで真っ赤にした楓が、父さんの頬を叩いた。 「……貴方、本当に父親なんですか? なんですか、商品って!!」 「……そいつを取り押さえろ」 その時、俺の小さな幸せが崩れる音がした。