ある日、俺は楓とショッピングに行った。
「ねー俊平、ペアルック買いたい!」
「……ペアルックかよ」
ちょうど1ヶ月記念日の日だったから、楓はたぶん、記念に買いたかったんだと思う。
「いいじゃん!怒っちゃうよ?ガオー」
楓は服屋に売られていた狼の耳のついたグレーパーカーを俺の前に突き出してきた。
「……女に狼は似合わねぇ。お前は、こっち」
俺はそのパーカーを奪い取り、隣にあったグレーの猫耳パーカを楓にみせた。
「可愛い!じゃあ、これでペアルックにしよ!!」
楓はそのパーカーを掴み、さぞかし嬉しそうに笑った。
俺は楓からそれを奪い取り、そのままレジへ行って金を払った。
母さんが父さんに内緒で俺にお金をくれたから。
「えー、俊平、お金は?」
「……奢り。今日、記念日だろ」
不服そうに言った楓から目線を逸らして、言う。
「アハハ!顔、真っ赤だよ?どんどん行こー!!」
腕を引っ張られて俺はそのままアクセサリーショプや雑貨店など、色んなとこに連れてかれた。
どうやら相当嬉しかったらしい。
父さんに腕を引っ張られたこともあるのに、
楓には怖さなんてものは全然感じなかった。



