「よっ、ミカ。なんだよそのフード」
楓の隣にいた岳斗が、そんなことを聞いてきた。
俺がブレザーの下にパーカを着て、フードを被っていたから。
理由は顔隠しと、頭部に出来た傷跡を隠すためだ。
「え、あー気分? 俺、人に顔見られんの好きじゃないから」
虐待のことが言えなかったから、歯切れ悪く俺は返した。すると楓が、不思議そうな顔をした。
「え、でもミカってイケメンな方だよね?」
「……それ、あんま言わないで。そういうの苦手」
かっこいいとか、イケメンとか言われると、
俺は自分には外見しか価値がないって言われているような気がしてくる。
そういうのが、すごく嫌だった。



