俺の家の権力は、金を稼ぐ父さんにあった。



母さんは立場は使用人だから、俺が怪我したらその面倒は見てくれたけど、父さんに暴力をやめるようには言わない。いや、……たぶん父さんが怖くて、言えなかったんだと思う。






俺は、完璧な商売道具になるため、あらゆることを制限された。





自分の目の前にキャンパスノートを持った父さんがいて、俺は父さんに言われた通りに動く。





体育座りやら、元気よく笑えやら。
同じ姿勢や表情を少なくとも1時間以上やることを強いられた。
汗水ひとつ、垂らすのは許されなかった。






少し動いただけで、部屋にあるあまたもの売れない絵が俺の足や腕に向って投げられた。






そもそも笑える環境にいないんだけど。




……ねぇ父さん、それに気づいてよ。
そう、いつも思ってた。