放課後、家に帰ると虚しくなる。
……俺の家は、普通じゃない。
家族構成も、家の中も何もかも。
「はぁ……。ただいま」
俺は家の中に、深呼吸をしてから入った。
家の中には、いつも深呼吸をしてからでないと入れない。
俺の家は可笑しいから。
「ああ、おかえり。……俺の商品」
玄関で俺を待っていた父さんに、昨日、家に帰ってきた時に言われたのと同じ言葉を低い声で囁かれる。
鳥肌が立って、体が震えた。
父さんが俺をちゃんと名前で呼んでくれたことなんて、一度もない。
俺は、商品だから。……父さんの、商売道具だから。



