俺と男は渋々喧嘩をやめた。
「えっとミカ、こちらあたしの幼馴染の矢吹岳斗(ヤブキガクト)。あたし達の隣のクラスだよ!」
楓が目の前にいる男を紹介する。遊んだようにはねた肩まで伸びた茶色い髪に、タレ目ガチの人懐っこそうな猫のマンチカン種を思わせる容姿。
……俺とは正反対の見た目だな。
はっきり言って、岳斗も楓も俺とは真逆の奴等だった。
「……三上俊平。下の名前呼ばれんの嫌いだから、ミカって呼べ」
無愛想に俺は言う。
「へいへい。……みかちゃん?」
「このーっ!!」
俺は、思わず岳斗に殴りかかった。
しかし、岳斗はそれを交わし、スキをついて俺の手からパンを奪い取った。
「返せ!!」
正直、岳斗の第一印象はあんまり良くなかった。
でも、……俺はその日友達が2人もできて、すごく嬉しかったんだ。



