「……三上が立花に出会う前、俺に言った言葉だ。
あいつは立花に出会うまで、友達を作ろうとしてなかったんだ。
俺がなんでいつも独りでいるんだって聞いたら、あいつはそう言って、鋭い眼光で俺を睨みつけたよ。
………あいつの瞳の中は暗い。光なんてない真っ暗闇の世界に、あいつはいるんだ。
あれはたぶん、友達や恋人が死んだこと以外にも問題を抱えている。そう思わせる目を、あいつはしてたんだ。
……俺がわかるのは、精々ここまでだよ。
教師が生徒を励まそうと思っても、そもそもその生徒に心を開く気がないんじゃあ、どうにもならない。
同級生のお前達なら、……まだ心を開いてくれるかもしれないな。
三上を……いや、俊平を頼む」
担任が頭を下げて言う。
「ハッ、当然だ!帰るぞ、お前ら」
結賀が席を立ち上がって、爽快に笑い飛ばす。
結賀はそのまままっすぐドアへと歩いていった。
「ああ」
「了解」
「オッケー、先生またね」
廉の後に返事をして、俺も立ち上がった。
最後に伊織が笑って立ち上がり、俺達は早足で教室を出ていった。



