「お前達はあまり授業に参加してなかったから知らないだろうがな、元々あいつは不良なんかじゃない。高一の時は、髪を染めてる少し派手で、無愛想な男って感じだった。見た目に問題はあったが、授業はちゃんと聞くし、ノートもきちんととるし。成績だってオール4くらいで、本当に、優等生って感じだった。
……三上はたぶん、立花のことが凄い好きだった。立花といる時だけは、必ず笑っていた。とても楽しそうにしていたよ。
立花といない時は、常に無愛想だった。……三上にとって立花いる時だけが、穏やかで、過ごしやすい時間だったのかもな。
しかし、立花は事故で死んだ。そして、その3ヶ月後、立花の幼馴染で、三上の友達だった矢吹岳斗(ヤブキガクト)という男も死んだ。自殺という話だったが、それすらも本当か俺にはわからない。
おそらく三上は、2人の死に際を目撃したんだ。それで、心を痛めたんだろうな。以降、不登校になって荒れに荒れた」
……あいつは、目の前で人が死ぬのを怖がってるのか?
「……すべて失うくらいなら、最初から一人でいた方がいい」
突如、担任はそう静かに呟いた。



