白猫が俺の頭を撫でて、
身体を後ろから抱きしめてきた。
「……そばにいてやるから、思う存分泣け。
「うっ、うーっ」
泣いたって泣いたって、岳斗はもう帰ってこない。
伊織が、銀色に輝く花瓶に合うように、
遥や香里奈と買ってきた花束の茎を切った。
緋也と嘉が銀髪に輝く花瓶を洗ってきてくれて、遥と香里奈がそこに花束を入れた。
みんなで、買ってきた線香を分けて、
一人一人手を合わせた。
結賀達がくんできた水を、俺は一滴一滴ゆっくりと墓にかけた。
風が吹いて、花瓶に突き刺さった薄い桃色の花が揺れた。
綺麗な勿忘草だった。
花言葉は、
真実の友情。
あるいは私を忘れないで。
………ありがとう。
もう二度と自殺なんかしねぇ。
この先、何が起ころうと俺は岳斗を忘れねぇよ。
俺は仁と白猫に支えられて地面からどうにか立ち上がり、
楓の墓を探した。
その墓は、右側の一番奥に静かにそびえ立っていた。



