退院した日、俺は華龍と血流の幹部と白猫と魁斗や汐美達と一緒に、楓と岳斗が眠る墓へ行った。
なぁ、楓、岳斗……っ。
俺、こいつらのことちゃんと守ったよ。
去年と同じにはならなかった。
あの日の宣言通り、繰り返さなかったよ。
俺は、空を見上げて、心の中で語りかけた。
薔薇のアーチがそびえ立った出入口に足を踏み入れると、線香の独特の匂いが鼻を刺激した。
中には黒や灰色や白の沢山の墓が立ち並び、
端には、仏花と書かれた花や線香を売る小さな店があった。
そして、中央には墓にかける水を入れるバケツや蛇口が静かにそびえ立っていた。
伊織と遥と香里奈に店の方に行ってもらい、
結賀達は黙って墓にかける水を用意してくれた。
俺は仁と緋也達と白猫と共に、かつての親友の墓を探した。
魁斗と汐美は、車の中で待機している。
岳斗の墓は、中央の列の奥から2つ前に建っていた。
【矢吹岳斗之墓】
筆記体で印刷された文字をなぞり、俺は倒れるように地面に四つ這いになった。
「お、おいミカ!」
隣にいた仁が、慌てて俺の名を呼んだ。
「……へーき。何でもない」
俺は、小さな声でそう言った。



