「……俺、どれくらい寝てた?
父さんは……?」
泣き止んだ俺は仁の服をぎゅっと掴んで、
震えた声で言った。
「……もうお前が殴られたあの日から1週間経った。
あの後、警察が来てお前の父親と露磨は捕まったよ。
……ごめん。お前の身体中にある傷、証拠として写真撮って警察にそれ渡しちまった。
嫌だったよな」
罰が悪そうな顔をして、仁は俺から目をそらした。
「……いや、いい。ありがとう。
……父さんは、捕まった時なんか言ってた?」
「……やりすぎたかもしれないな。
金に目がくらんで、俊平のことを
道具のように扱ってしまった。そして俺は、そう扱うのを心底楽しんでいた。
あいつは血の繋がった俺の息子なのに、俺はそいつに死んでも死にきれないほどの酷いことをしてしまった」
仁は、父さんの真似をするかのようにそう言った。
その言葉は、俺が欲しい言葉なんかじゃなかった。
最後の最期まで、父さんは俺に冷たかった。
やりすぎたなんて、本当は微塵も思ってないのだろう。
……だって、謝ってくれてないのだから。
謝罪の謝の字もない、社交辞令のような冷たい文だった。
……そこには、愛なんてこれっぽっちもない。



