「ミカっ!!」



隣に座っていた緋也に右腕を引っ張られ、
身体を父さんから守るかのように、
強く強く抱きしめられた。




「……緋也、華龍に連絡してくれ。




白猫店は、裏口が分かりづらくなってるんだ。……そこからなら、きっと逃げられる」





緋也が汐美から渡されたタオルで血を拭ってくれている中で、俺はか細く震えた小さな声で言った。



「こんな時まで君は友達の心配をするんだね。いいよ、分かった」




父さんに聞こえないように、緋也は小声返して、内容をリムジンにいるみんなに口パクで伝えた。



嘉が携帯を操作して、華龍に連絡を取ってくれた。




「……すみません旦那様、少々飛ばさせていただきます」



直後、魁斗は傷の痛みが収まったのか、汐美と運転を代わり、100キロ以上のスピードでリムジンを走らせた。