リムジンに乗ったところで、
運転席に座った汐美は、真後ろの座席に座った緋也に視線を移した。
リムジンの中は、運転席と助手席野の後ろには、黒い座席が半円を描くように繋がって置かれていた。
「旦那様、どこに向かいましょう?」
「……とりあえず、ここから1番遠い別荘に行ってくれる?」
汐美の言葉を聞き、緋也は腕を組んで言い放った。
「かしこまりました」
リムジンが進んでいく。
「……すっ、すまん緋也!!
その前に白猫の所に行かせてくれ!露磨にあの店どこにあるかバレてるんだ!そこに華龍もいるかもだし、ほっといたらアイツらにも危害が及ぶ!!!」
俺は叫んだ。
「はぁー仕方が無い。まぁこのリムジンは十二人乗りだからなんとかなるかな。ミカ、汐美にちゃんと案内してね?」
「ああ、ありがとう」
俺は、しっかりと頷いた。
俺が白猫の所まで道案内をしている中で、緋也は嘉達に昨日俺とした約束や、
俺の家庭環境についてみんなに説明をしてくれていた。
……無事でいろよ、仁。
今更会いに行くだなんて、
すげぇ身勝手で、都合がいいかもしんねぇ。
でも、……それでも俺は、
あんたと仲直りがしたいんだ。



