玄関の先に続く廊下の右端にあった階段から、父さんが降りてきた。
「露磨、やめろ。お前はもういい。俺が罰を受けさせる」
「左様ですか」
露磨はそう言い、携帯をポケットにしまった。
「ゴホッ、ゴホゴホ!!」
俺は苦しくて思わず、
背中を引きずって玄関の下駄箱に座り込んだ。
「……お帰り、俊平」
怯えた顔をして座り込んだ俺の目の前まで来て、父さんは言った。
「ただ……痛っ!!!!」
喋ろうとすると、すぐに父さんは俺の黒い髪を掴みあげた。
「誰が返事をしていいと言った?この出来損ないが!!」
……いや、お帰りって言われたら返事するのが普通でしょ。
父さんが考えてること、全然わかんないよ……っ。
ガンッ!!
掴んだ髪を下に思いっきり引っ張って、父さんは俺の頭を無理やり下駄箱の先の床に打ち付けた。
「痛っ!!!」
押し寄せるのは、圧倒的な痛みとどうしようもない恐怖心だけだ。
頭から、滝のように血が流れた。



