すぐに着替えて、ダイニングへ行った。




「……おはよ」




「おはよ俊平!」



キッチンにいた母さんは、露磨と一緒にダイニングへ来た俺を見て、優しく微笑んだ。


「おはようございます、ご主人。それに、奥様も」



4人用のテーブルの右端に置かれた椅子に腰をかけて、新聞を読んでいた父さんを見た後、露磨は母さんに視線を移した。




「あぁ、おはよう露磨。俊平を起こしてくれたんだな。ありがとう」





「はい。中々起きなかったので、仰せの通り制裁を加えさせて頂きましたが」




取り繕ったような笑顔をして露磨は言い、
俺が背中に隠していた血まみれの右腕を掴んで、父さんに見せた。


「痛っ!」

「きゃあっ!」



母さんは甲高い悲鳴をあげた。




「アハハ!!あぁ、上出来だ露磨。

お前を雇ってよかったよ」



父さんは椅子から立ち上がって、露磨のいる方へ近づいた。





そして、虐待をしてこなかった5歳の時までは俺に向けていたあの大事そうなものを見るような優しい目をして、露磨の頭を撫でた。





なんも良くねぇよ……。
血の繋がった息子の俺じゃなくて、父さんはそんな狂った執事を大事にすんのかよ……。




「お褒めいただき、光栄です」




露磨は、父さんに嬉しそうに笑いかけた。