俺は睨むのをやめて、緋也の顔を覗き込んだ。



「緋也……?」



「……いいよ」




俺から目を逸らして、小さな声で、濡れた赤髪を片手で引っ掻いて、緋也は言った。






「……君のお父さん、殺さなくても、捕まえて暴力の一つや二つするつもりだったけど、君の好きにしていいよ。




まぁ捕まえはするけど……後は君の好きにするとい。警察に通報するでも、話をするでも、何でもすればいいよ。






暴力振るう親なんて、親って呼べるのかどうかすら僕にはよくわからないけれど……それでも、
君とっては、お父さんは彼一人なんだろう?」