「まぁまぁ、話ばっかしてないで、とりあえず食べちゃってよ。お腹すいたでしょ?」




突如、俺の真ん前に女がやって来て、
お粥を入れた皿とスプーンを差し出してきた。



……姫の伊織だっけか。


「……悪い」



俺は伊織からそれを受け取り、一口口に運んだ。




「……美味しい?」


「……ん」



本当に上手いって言うのは恥ずかしかったから、俺は軽く頷いた。



「銀狼、1つ提案なんだが、――華龍に入れ」




「断る」





俺は、結賀の提案を一刀両断した。




「まぁ待て。お前、今緋也に狙われてるんだろ?その怪我じゃ、当分喧嘩は出来ても本来の実力は発揮できない。また血流に攻められたら、今度こそ捕まるぞ?」






そんなの分かってる。



それでも、俺はもう……。



「……だからって、あんたらのとこに入る気は無い。馴れ合いなんて俺はゴメンなんだよ」




「だったら、せめて傷と風邪が治るまでここにいろ」




拒否は許さないとでもいうように、結賀は俺を睨みつけた。






「……わかった」




俺は苦悶(くもん)の末、渋々了承した。