「アハハ!!仁が押し負けてんのって超貴重じゃね?マジおもろい!」 突如、廉が腹を抱えて笑い出した。 「……うるせー廉。誰も押し負けてねぇし」 仁は顔をしかめて廉を睨みつけた。 「アハハ、そんなに欲しいならチョココロネあげよっか?」 「要らねーわ。俺はクロワッサン」 伊織の提案を軽くあしらって、仁は俺から目を逸らした。 クロワッサンだってバターたっぷりの甘いもんじゃねぇかよ……。 俺は、つい心の中でそう悪態をついた。