俺は、“暫く前言ってた友達のとこに泊まる”と書いた紙を、台所の横にあったちゃぶ台の上に置いた。



「……友達か。結局、作らないって決めたのに俺は……」



ついこの前母さんに作らない必要は無いって言われてあんなに強く否定した癖に、俺は結局作っているんだ。





……これから、どうなるんだろうな。



俺は頭を振り、キッチンから離れた。


俺はフード付きの服を何枚かと、制服をホコリを被った小さめの棚から出した。




服が重なっていたのか、長袖や制服と一緒に、パーカーが一枚取り出される。






「……っ!!」




楓が着るハズだった、グレーの猫耳パーカーだった。






「……分かってるよ、楓。もうお前みたいなことは繰り返さねぇから。……華龍は、俺の命に変えても死なせねぇから」






何かの宣言のように呟いたその言葉は、




静かに泡となって消えた。