そして更に次の日。こういう時は時間の経過が早い。やめてほしい。
亜弥と朝のうちに少し話をして、昼休み終わりに和泉くんのところへ話に行くということに決まった。放課後だと、さっさと帰られてしまったら終わりだからだ。
ソワソワして授業に身が入らない。そしてそのまま昼休みに突入した。
「今日、お母さんがカレーパン作ってくれてさぁ」
亜弥が、お母さん手作りカレーパンを半分くれたのだけれど、喉を通らない。
「しんどい。お腹は空いているのに食べられない」
「ねぇ。あんたそんな神経質で、いまからどうするの」
「感受性が強い繊細な子だと言って」
「いいから、放課後にお腹空いたって食べている暇ないんだからね。食べなさい」
お母さんみたいなことを言って、表面カリカリのカレーパンをくれた亜弥だった。受け取って、口に運ぶ。
「美味しい」
「じゃあ、わたし行って来るから。ちゃんと食べてなさい」
「え、もう行くの?」
亜弥はわたしに答えずに教室を出ていった。本当に、わたしと違って行動力があるなぁ。
カレーパンを食べ、家から持ってきたおにぎりを食べた。お腹が満たされたら、少し緊張が解れたような気がする。
紙パックのウーロン茶を飲んでいると、亜弥が戻ってきた。
「は、早かったね」
「教室に向かったら、廊下にいたから、話つけてきたよ」
亜弥が小さい声で言う。
「なんかね、今日は特に用事がないんだって」
ということは、バイトは休みか。よし。
「体育館外通路に出る手前に、保健室あるでしょ。そこでまふが待っているってことにしたから」
「ああ……そうなの」
「おう。あとは自分の力でやりなさい」
亜弥が拳を突き出してきたので、それに応える。そこで昼休み終了のチャイムが鳴った。
今日の授業はどれも頭に入らない。テスト前には亜弥に縋るしかないと思った。
最後の授業が終わったと同時に、教室を飛び出した。
和泉くんが待ちくたびれて帰ってしまったら大変だ。走るのは遅いけれど、とにかく早く持ち場に着かなければ。任務を遂行しなければ。
階段を通って、廊下を曲がると、保健室が見えた。その向こうに体育館へ通じる外通路がある。保健室の前には誰もいない。きっとまだ和泉くんは来ていない。



